民放の限界を脱するための新しい配信形態を。新コンテンツ開発へ一歩前進

南海放送株式会社
事業
放送局
タグ
単品販売エンタメ
URL
https://nankai.stores.play.jp/
導入背景

民放の限界を脱するための新しい配信形態を

効果

広告モデルと課金モデルの壁を実感、新コンテンツ開発へ一歩前進

地元での圏域放送に縛られていた地方局も、今では自社サイトやアプリ内でのコンテンツ配信を通じて、実質的に圏域に囚われず、動画をオーディエンス(視聴者)に届ける時代を迎えています。

今回は2023年3月に「なんかいオンデマンド」を立ち上げ、独自プラットフォームで有料動画配信を行っている南海放送株式会社ビジネス戦略局の三谷隆司氏(以下、敬称略)にお話を伺いました。

また、「南海放送アプリ」内で、夕方のニュース「NEWS CH.4」のリアルタイム配信でULIZAをご利用いただいています。ULIZAの利用については同社の二宮以紀氏にインタビュー取材しました。

https://www.uliza.jp/voice/no9

<導入のきっかけ>
従来の民放モデルを超える、独自プラットフォームに新たな可能性

まずは三谷さんのお仕事内容を教えてください。

三谷:南海放送は愛媛県松山市に本社をおく、今年70周年を迎える放送局です。

私は長く報道記者をしていましたが、今年の春、ビジネス戦略局を担当することになり、主に新規ビジネス開拓など新しい収益源を探る仕事をしています。今までのテレビのビジネスモデルは、広告で収益を上げるモデルでしたが、今は主にコンテンツに直接課金し、コンテンツから直接、収益を上げるビジネスモデルに挑戦し、日々、試行錯誤しています。

南海放送ではPLAY VIDEO STORESをどのように利用していますか?

三谷:コンテンツへの直接課金のまさに心臓部です。PLAYの動画配信テクノロジーによって、課金システムが実現したわけです。

テレビ局の技術といえば“電波”でしたが、今回のケースはITが、テレビ局のビジネスモデルに直接的に影響を与えた例だと思います。これまでZIP!朝ドラマで話題の「パパとなっちゃんのお弁当」の原作や、書道パフォーマンス甲子園のライブ配信などを有料配信しています。予想以上に直接課金の壁は高く、分厚いことが分かりました。その厳しさを体感したことが最初の成果ともいえます。次は、お金を払ってでも観てもらえるコンテンツづくりが課題です。

「なんかいオンデマンド」を立ち上げようと思った理由を教えてください。

三谷:民放の広告モデルが限界を迎え、IT企業に浸食されていると感じていました。浸食はコロナによって、加速しています。少なくとも私たちにとっての成長分野ではなくなりました。放送局が目指す成長分野の1つが課金モデルだと思ったんです。

課金モデルの中でも自社で配信プラットフォームを持つきっかけなどはありましたか?

三谷:民放はわかりやすくいうとネット世界の巨大プラットフォーマーに搾取されてきました。ずっと実感していて、この世界から脱出しないと未来がない。コロナ前から独自のプラットフォームを持つことが重要だと感じていました。

<PLAY VIDEO STORESを選んだ理由>
圧倒的な技術力でシステムの安定性◎

三谷:その時に知ったのが株式会社PLAYです。NNN系列の新たな取り組みの中で、そのテクノロジーの基盤を担っているのがPLAYと知り、調べました。

TVerの動画配信部分のシステムを担っているということもわかりました。他社のシステムとも比較したところ、PLAYが開発したシステムはバグが少なくシステムが優れていることがわかりました。

さらに2023年2月にPLAYが開催した「PLAY NEXT」というカンファレンスの中で、COOの宮島さんのお話を聞く機会がありました。そこで「動画配信における遅延は越えられない壁としてある。6秒の遅延の内、わずか3秒の壁を詰めるために、海外の会社を買収した。」という話を聞きました。3秒のためにそこまでするのかと、正直驚き、コンテンツ制作者と共通する”品質へのこだわり”に感動しました。

この技術者がCOOを務める会社は信頼できると感じ、PLAY VIDEO STORESの採用を決めました。

実際にPLAY VIDEO STORESを使用していかがですか?

三谷:まず PLAY VIDEO STORESはとても使いやすいです。システムも安定していますし安心感があります。そのため私たちはコンテンツ作りに専念することができています。

<配信した結果>
テレビでは感じられなかった顧客との密接な繋がりと有効利用

実際にコンテンツの有料販売を開始していかがですか?

三谷:有料でコンテンツを販売する難しさを実感していて、どんなコンテンツが観てもらえるのか、無料が前提の“脱”テレビコンテンツづくりの試行錯誤が続いています。

スタートして数か月ですが、実績は単価1,000円でチケット販売(視聴数)が70~80件程度、つまり1回のLIVE配信の売上が7~8万円といったところです。コストは配信スタッフが基本1名、配信タレント1名プラスゲスト、VTRなどは社員が作り、極力、キャッシュフローアウトを抑えています。

上期最大の配信と位置付けた『書道パフォーマンス甲子園』の8時間半に及ぶ全編LIVE配信は単価300円でチケット販売は607件でした。(7月26日現在/年内アーカイブ配信継続)

『書道』の配信では、高校生を中心にチャットが盛り上がり、テレビではあり得ない視聴者同士の横の繋がりを目の当たりにしました。また詳細なデータ分析が可能で、40代、50代の親世代の購入が予想外に多いという結果も出ています。さらには「購入してくれた」という感覚がコンテンツ制作者側にも生じることで、連帯感のような不思議な気持ちが生まれましたテレビ局とマスと言う関係ではない、制作者と購入者の個対個のつながりが独自プラットフォームの特徴であり、今後の可能性だと感じました。

視聴者との密接な繋がりをどのように活かしていくか、構想はありますか?

三谷:例えば配信で取り上げた社会的な課題を解決するグループを視聴者と共に作る、などのネットワーク化も可能かもしれません。いずれ料金体系はサブスクに移行する計画で、そうなれば加入者は自ずと“ファンクラブ”的な位置づけにはなるはずです。課金モデルは世界のガリバーがひしめき合っています。サスティナブルなビジネスにするには、配信コンテンツの個性を際立たせ、いわばインディペンデント系としてニッチな市場でトップになる戦略が有効ではないでしょうか。

PLAY VIDEO STORESに今後期待する機能はありますか?

三谷:これまでにチャット機能がとても魅力的な機能であることが分かってきました。これに投げ銭(ドネート)機能を是非、加えて欲しいです。これは売上アップにもつながります。

これからコンテンツは「観る」に加えて、「参加して楽しむ」、コンテンツを中心に「コミュニケーションを楽しむ」世界に移行していくと感じています。こうした世界にはPLAY VIDEO STORES がとても有効です。私たちユーザー側の現場での経験と、PLAYの優れた技術力を組み合わせて、オリジナルな機能を開発することも可能かもしれません。

<今後について>
「なんかいオンデマンド」を使うからこそできる新しい取り組みを

今後はどのような取り組みをしていきたいと考えていますか?

三谷:「なんかいオンデマンド」で愛媛県外への配信売上の窓が大きく開かれました。

私たちの意識も大きく変わりました。制作活動の場を愛媛に限る必要がないのではないか、という意識です。例えば、東京のタレントを使って、東京のスタジオで、東京のスタッフとともに番組を作り、「なんかいオンデマンド」で発信し、全世界の人に見ていただく。そうすることでより広い市場で戦うことができます。そしてその利益を愛媛県に還元する。こういった取り組みは「なんかいオンデマンド」を使うからこそできます。新しい取り組みを楽しみながら、どんどん行っていきたいですね。

県外に向けての発信は独自プラットフォームの「なんかいオンデマンド」だからこそできる取り組みという事ですね。今後の放送を私も楽しみにしています!本日はお忙しい中インタビューにご対応いただきありがとうございました。

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